玄々堂君津病院

当院の特徴

腎臓移植 

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腎移植の流れ

1.初回診察、組織適合性検査・クロスマッチ検査

問診、診察で身体的、精神的、社会的に大きな問題がなければ、血液検査で組織適合性検査・クロスマッチ検査を行います。臓器移植ではドナーの臓器とレシピエントの相性をみる組織適合性検査がおこなわれます。クロスマッチ検査とはドナーのリンパ球とレシピエントの血清をかけあわせて、拒絶反応の起こりやすさを推測する検査です。これらにより、超急性拒絶反応の回避、拒絶反応の軽減、レシピエントの免疫応答を推測することが可能です。重度な拒絶反応のリスクが高い場合は当院での移植は控え、希望があれば高次医療機関へご紹介します。

2.各種画像検査

クロスマッチ検査で問題なければ、各種画像検査をおこないます。その目的は安全な手術を行うことと、移植することでレシピエント、ドナーに大きなデメリットが生じることがないようにする為です。レシピエント、ドナーに悪性腫瘍や活動性のある感染症が存在する場合、免疫抑制をかけることでそれらが悪化する恐れがあるため、移植はできません。よってCT検査、MR検査、内視鏡検査、超音波検査等で十分な全身評価を行います。また当院では手術リスクを踏まえ、心筋梗塞治療後、心機能低下症例、肺機能低下症例に関しては高次医療機関へご紹介します。

3.循環器内科、心療内科等への他科受診

末期腎不全患者は心血管系合併症が少なくないため、循環器内科を受診し必要に応じて心臓カテーテル検査等の追加検査をおこない、移植可能かどうかを判断します。また生体腎移植においてはドナーの自発的意志による臓器提供が必須であり、精神科医など第3者によるそれらの確認と腎提供に相応しい心理的、社会的な背景の確認が必要となります。

4.入院

レシピエントの場合、手術前約5〜7日前より入院し、順調に経過した場合、手術後約2〜4週間で退院となります。術後は血液検査、レントゲン検査、超音波検査が適宜実施され、急性拒絶反応や感染症の早期発見、早期治療に努めます。拒絶反応が疑われた際は、確定診断のために腎生検(局所麻酔下に、針を用いて腎臓の一部を針を取り出します。)が実施されます。

ドナーの場合は、手術前2日前より入院し、手術後約1週間で退院となります。ドナーに関しては体の負担の少ない内視鏡手術で行われ、早期社会復帰が可能です。

5.退院

レシピエントに関しては、手術後2か月までは週1回程度、手術後4か月までは2週に1回程度、以降は月1回程度の通院となります。移植後早期(術後4か月〜半年)は急性拒絶反応を防ぐ為、免疫抑制剤の投与量も多くなります。その結果、サイトメガロウイルス感染症といった感染症の発症リスクが大きいため、注意深い経過観察を必要とします。感染症を発症した場合は、週2回の通院や重度な場合は入院加療となります。また約10%に急性拒絶反応がみられ、その際も入院加療となります。移植後早期を過ぎれば健常者と同程度の生活様式で行動していただいて構わないと思います。

新型コロナウイルス感染症の蔓延以前より、移植患者においては手洗いやマスク、人ごみを避ける行動を推奨していた影響もあるのか、感冒、インフルエンザといった一般的な感染症に罹患する移植患者は非常に少なかった印象です。ドナーに関しては残った腎臓の機能保持のために、退院後初回外来で問題なければ半年〜年1回程度の通院をお願いしています。

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