玄々堂君津病院

当院の特徴

腎臓移植 

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末期腎不全に関して

腎臓の働きが徐々に低下し末期状態になった場合を、末期腎不全と言います。

こうなると倦怠感、味覚障害、食欲低下、呼吸困難などさまざま症状が出現し、放置すれば生命に危険な状態となります。そのため腎臓の代わりをする治療(腎代替療法)を受けなくてはなりません。

現在、腎代替療法は腎移植、血液透析、在宅血液透析、腹膜透析があります。それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあり、個々の患者さんにとっての最適な治療は年齢、患者背景、患者さんの希望等で異なります。また、いずれの治療法も必ずしもその治療だけで一生を全うする訳でなく、腹膜機能不全で腹膜透析から血液透析へ、バスキュラーアクセス不全で血液透析から腹膜透析へ、移植腎機能廃絶で腎移植から血液透析・腹膜透析へと治療法を変更することも少なくありません。

当院では全ての腎代替療法を選択可能で、あらゆる腎代替療法に精通した経験豊富なスタッフのサポートのもと、患者の病態、ライフステージ、人生観を配慮した、個々の患者さんに最適な治療法を選択できます。

腎移植に関して

手術で他人の腎臓を移植することにより腎機能を回復させる治療です。当院では、自らの意思で提供を申し出るドナー(親族に限る)から腎臓の提供を受ける生体腎移植を実施しています。

腎移植の最大のメリットは、動脈硬化の進展、慢性貧血/炎症、骨代謝異常、アミロイド沈着といった長期透析における合併症を回避することであり、その結果、長生きすることが期待できます。移植により腎機能が改善すれば、健常者と同様に体内で尿毒症性物質に暴露されない点が他の治療法との大きな違いです。また透析では、通院や透析する時間といった時間的制約が大きいですが、移植の場合、腎機能が安定すれば月1度の通院のみで、定期的にお薬(免疫抑制剤2~3種類、その他は必要に応じ)を内服していただくことで、食事・水分制限も極めて緩やかに生活できます。

腎移植のデメリットもあります。頻度は少ないですが手術による合併症のリスクがあることです。また慢性の拒絶反応、お薬による腎毒性等の影響で、永久に腎機能が保持されるわけではなく、いずれは血液透析、腹膜透析に移行する必要があります。(多くの患者さんが10数年は腎機能が保持されています。この10数年、先に述べた長期透析における合併症を回避できるメリットが非常に大きいです。)

移植の成績ですが、移植した腎蔵が何年か経過した時点でどのくらいの割合が機能しているかを生着率といいますが、1年で99%、5年で94%、10年で80%台の生着率です。腎移植をうけた100人のうち10年後に80人は移植腎機能が保持され、20人が腎機能廃絶し透析等に移行することになります。

ドナーに関しては、自分の腎臓を提供した後も、残りの腎臓の働きで以前と同様な日常生活が過ごせること、またレシピエント同様、手術に耐えうる全身状態であると判断されれば、腎提供は可能です。ドナーになるのは親族に限定されますが、血液型が異なっていても可能です。免疫抑制薬や医療技術の進歩により、大学病院等の高度医療機関でしか受けることのできない特別な治療ではなく、身近で一般的な治療になったと考えています。

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