玄々堂君津病院 診療技術部
リハビリテーション科 科長
須永 洋平
私自身がこのプロジェクトに参加したのは、建物全体の設計が定まってきた頃からです。玄々堂じんクリニック内に開設する通所リハビリテーションについて、意見を求められました。
病院で提供される「医療」のリハビリテーションに長く携わってきた一方、「介護」のリハビリテーションは初めての経験でした。幸い、法人の中に、同じく通所リハビリテーションを開設した病院があり、何度もアドバイスを受けながら開設にこぎつけました。
通所リハビリテーションのご利用者は、要支援1と2、要介護1から5と、7段階の介護度があり、必要とされるリハビリテーションの内容が異なります。一方、私がこれまで関わってきた病院でのリハビリテーションも、急性期から慢性期、入院と外来というように、さまざまな場面があります。私自身はそれまで、介護の分野に直接関わってこなかったのですが、こう考えてみると、病院でのリハビリと、施設でのリハビリは、ステージの捉え方が違うだけで、似通った部分がたくさんあることに気付きました。
介護サービスのリハビリテーションでは、精神的なケアにも気を配ります。時にはご利用者の心の支えになり、またあるときは気持ちをリフレッシュして笑顔でお帰りいただく。
しかし、我々は技術的にも病院と同等のリハビリテーションを提供したい。玄々堂君津病院で提供する医療のリハビリテーションと、精神的なケアを両立する、そんなリハ通所リハビリテーションを目指しています。
玄々堂じんクリニック通所リハビリテーションの強みとは
私たちがリハビリテーションを行っている患者さんの中に「膝に問題を抱えた高齢女性」がいます。
この方は、しばらく玄々堂君津病院の整形外科に通院しており、最終的には手術に至りました。退院後は、玄々堂じんクリニックの通所リハビリテーションで、機能訓練に励んでおられます。
私は直接の担当ではありませんでしたが、入院前から関わらせていただき、手術後のリハビリ、退院後の生活期まで見ています。
リハビリテーションにおいて治療の「経過」は重要な要素であり、手術前の状態から通して関われることは、それだけ質の高いリハビリテーションを提供することにつながります。
病院リハビリテーションと異なるスタッフが担当することになっても、電子カルテや担当者同士の会話で細かく情報を共有することができます。この方の基礎疾患は何か、これまでどのような治療を受けてこられたのかが分かると、より深い関わり方も可能となるのです。
医療と介護をまたいで関われたこと、それは、ご利用者にとっても、私たちリハビリテーションスタッフにもたいへん有益なケースでした。
私が考える、玄々堂じんクリニック通所リハビリテーションの未来
現在のところは、まだオープンしてから日が浅いですから、周りは「初めて会う」方が多いのだと思います。にぎやかさが足りないというか。ご入居者の方たち同士が、もっと生活空間として、楽しめるようになっていただけるとうれしいですね。困ったことがあった時には、医療者がすぐ近くにいますし、すぐそこに医療があります。ここはあくまでも生活の場として、楽しく生活していただければと、考えています。