ウェル・ヴィレッジ君津 0439-52-2233
じんクリニック 0439-55-5544

想い 関係者インタビュー 〜私たちが込めた想い〜


目指したのは「透析ができる“家”」。ご入居者と医療者が、ともに安心できる住まいづくりを実現

玄々堂じんクリニック 院長
玄々堂君津病院 副院長
総合腎臓病センター センター長
大﨑 慎一

「ウェル・ヴィレッジ君津/玄々堂じんクリニック」を提唱したきっかけ

今を遡ること、およそ5年前のことです。玄々堂君津病院はこの地で昭和47年から、特に腎疾患治療や人工透析に力を入れた医療を提供してきました。ところが、患者さんやご家族の高齢化が進み、いわゆる「独居高齢者」も増えてきたのです。その結果、人工透析に通うことが困難と思われるケースが目立つようになりました。

もちろん、送迎バスの運行も行っていましたし、在宅での透析へ移行された患者さんもいらっしゃいました。それでも「生きるための医療」が受けられない、自分一人ではどうにもできないという、まさに「狭間にいる患者さん」が増えてきたのです。この現状をどうにか打破したい、誰でもが平等に、必要な医療や介護をシームレスに受けられる環境を整えたい、そんな思いを具現化するところから、このプロジェクトはスタートしました。

さいごまで”生きること"を楽しめる生活

長い透析生活の中で、加齢により、巡回バスの乗降車さえもがつらくなってくることはめずらしくありません。高齢者だけで暮らしているご家庭ではなおさらです。
しかし、人工透析を必要とする患者さんにとって、週に3回の透析を受けることは、命に関わる重大なことです。
もしも、“家”のすぐ近くに透析クリニックがあったら、日常生活とごく近い治療空間を提供できれば…。食事・寝る・入浴などの日常生活と、命をつなぐ人工透析や、身体機能を維持・回復するためのリハビリテーション、これらが一体となった空間を実現したいと考えました。その中での私のこだわりは「最期の時まで、“生きる”ことを楽しんでいただきたい」ということ。
そのために、閉じ込めるような“施設”とは違う「光や緑のあふれる住空間」を提供し、細かな気配りができる優秀なスタッフを配置しています。日々の生活の中で「できないこと」ではなく「できること」を見つけながら、ゆったりとした時間の中で楽しく生活していただきたいと考えています。

ウェル・ヴィレッジ君津/
玄々堂じんクリニックプロジェクトにおける、印象的なエピソード

例えば、人工透析を受ける患者さんの日常を考えたとき、透析クリニックだけでは他の慢性疾患へのサポートが受けにくいという現実があります。人工透析に関しては一定水準の医療を受けることができても、例えば糖尿病はダメ、呼吸器疾患は他のクリニックへ行く必要がある、リハビリテーションはまた別の病院へ行かなくてはならないなど、患者さんの日常生活を考えると、非常に負担が大きいということが分かりました。
「透析ができるサービス付き高齢者向け住宅」という発想に至ったところで、全国にある、同様の目的のためにつくられた施設のことを調べて、見学にも行きました。そこで得た知見や情報を元に「もっと良い住空間を作ろう」というコンセプトの下、スタッフと一丸になってプロジェクトを進められたことが、多くの職員の想いを形にできた、一番の理由だったかもしれません。 実際にウェル・ヴィレッジ君津/玄々堂じんクリニックがオープンすると、職員が日々の病院勤務で感じるあわただしさや張りつめた緊張感がやわらぎ、ご入居者との間に、のんびりとした時間が流れていることを感じます。「医療者の心も軽くなる」そんなサービス付き高齢者向け住宅が完成できたことは、スタッフの尽力も大きかったのではないかと思います。


私が考える「ウェル・ヴィレッジ君津/玄々堂じんクリニック」の強みとは

まずは、何といっても玄々堂君津病院の歴史と経験から生み出される、人工透析に関する豊富なノウハウやスタッフのスキルを提供できる点です。
加えて、玄々堂君津病院が「二次救急医療を提供できる病院」であることも、強みの一つです。介護度が低いとはいえ、入居されるのは高齢者の方ですから、人工透析を必要としない方でも、慢性の疾患を抱えている方が多いですし、急な体調の変化、急性疾患の発症など、生活上のリスクはたくさんあります。しかしすぐ目の前に「救急病院」があり、医師や看護師をはじめ、多くの職員との交流があります。玄々堂君津病院には療養病床もありますから、急性期から慢性期へ、さらに療養してから再び住空間に戻る、この一連の流れをスムーズに進めることができます。
結果的に、「日常生活の様子」と「治療中の様子」が、そのまま病院スタッフと連携することができますので、非常にシームレスな情報交換ができていると思います。

私が考える、ウェル・ヴィレッジ君津/玄々堂じんクリニックの未来

ウェル・ヴィレッジ君津/玄々堂じんクリニックがオープンしたことで、生活の連続性や、生活と医療・介護が繋がった環境を、造り出すことには成功しました。しかし、私たちのプロジェクトは、やっとスタート地点に立ったのかもしれません。つまり、今までは助走だったのです。
例えば、「治療」という意味で関わるならば、私たち医師がその最前線で考え、行動に移すべきシーンは、たくさんあります。しかし「生活」や「介護」という視点で見るならば、やはりご入居者の方ともっとも近い位置にいるのは、当院の看護師や介護士をはじめとした職員です。現在の運営でもなお、できてしまう「隙間」に対し、スタッフは今後どのように関わるべきなのか、特別なフォローが必要となる「患者さん」が出てきた場合、どう対応していくべきなのか。もしかすると、医療系スタッフの増員が大きな課題かもしれません。訪問看護・訪問介護の提供体制や、ご入居者にとって「やさしい医療」を、常に考えていかなくてはなりません。
私のウェル・ヴィレッジ君津に対する使命は「自分を放棄しない」ことだと考えています。この信念の元、どれだけ「プラスα」なサービスが提供できるのか、スタッフとともに日々の研鑽に努めてまいります。


医療法人新都市医療研究会「君津」会玄々堂君津病院ホームページ 医療法人新都市医療研究会「君津」会玄々堂君津病院 腎臓病診療ページ